Category Archives: 光歯科通信

片噛みについて

皆様、こんにちは!今回は抜けた歯や噛めないお口をそのままにしておくとどうなるのかについてご説明します。

例えば歯が抜けた側で噛まずに長期間歯がある側だけで噛んでいた場合、お顔が歪んできてしまいます。「片側噛み」をしているとよく噛んでいる方の筋肉が厚くなり、あごの関節が変形していきます。また、よく噛む方のほうれい線が深くなり口角がつり上がってきたりあごがカクカク鳴ることもあります。そこからさらに上あごやお顔まわりの筋肉に影響が及ぶと、お顔の非対称性はより大きいものになっていきます。

放っておけば症状は改善されず重症化していきますが、治療して正しい噛み方に戻れば症状も治まってきます。失った歯はブリッジやインプラントなどの治療を早めに行って歯をしっかり補い、よく噛めるお口ときれいなフェイスラインを保ちましょう!

 

次回もお楽しみに!^^

梅干しとお口との関係とは?

皆様、こんにちは!今回は身近にあるお口にいい食べ物についてご紹介します。

今回ご紹介するのは梅干しです。梅干しには唾液の分泌を促す「清掃性」が備わっており、その他にも歯にとってうれしい効果が多くあります。2016年に報告された研究では、梅の果肉から抽出した成分

(MKR15)が歯茎の炎症を抑えるだけでなく、歯周病の進行を抑制することが明らかになりました。

歯周病は歯の周りの骨を溶かす病気です。その際に重要な役割を果たすのが破骨細胞ですが、MKR15がこの破骨細胞の働きを抑え、骨の破壊を抑制することが分かりました。また、虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑える効果があることも明らかにしています。

しかし、梅干しを食べるにあたって注意することもあります。それは、クエン酸を含むため摂り方によっては歯が溶けてしまうということです。クエン酸は歯を溶かす能力が高いため、梅干しを毎日食べる習慣のある方は食後に口をゆすいで口内に残る酸を取り除くようにしましょう。

次回もお楽しみに!

顎を傷めないお口の開け方について

皆様、こんにちは!今回は顎を痛めないお口の開き方についてご紹介します。

口の開き方は2種類あり、それぞれ「前歯部からの開口」、「臼歯部からの開口」と呼ばれます。「前歯部からの開口」は普通の開け方で、口を開けてくださいと言われた時にはこの開け方をしています。もう一方の「臼歯部からの開口」は、普段行うことはほとんどありません。この開け方は喉を見せるように行うことがポイントです。歯科で長時間お口を開けるのが辛い、大きいお口を開けるととても疲れる、といったお悩みがある方はぜひ一度「臼歯部からの開口」を試してみてください!ポイントは喉が見えるように開けること、この時に舌が奥の方に行く感じがあれば正解です。

次回もお楽しみに!

 

歯の付け根の虫歯について

皆様、こんにちは!今回はご高齢の方に多い「根面虫歯」についてご紹介します。

まず始めに、「根面虫歯」とはどういったものかご存知でしょうか?これは歯周病などの原因で歯ぐきが下がってくると起こりやすくなる虫歯です。前まで歯ぐきの下に隠れていた酸や虫歯菌に弱い歯質が出てくることによりその部分が虫歯になりやすくなってしまいます。この虫歯は進行すると、かみ合わせの面が虫歯になっていなくてもある日突然歯がポキッと折れてしまうということにもつながります。

次に、この根面虫歯がご高齢の方に多い理由をご説明します。1つ目は先ほどもご紹介したように、「歯ぐきが下がってきている方が多い」ためです。根面虫歯は歯ぐきが下がらない限りは起こりません。2つ目は、「歯を守る唾液が減少する」ためです。年を重ねるごとに唾液の分泌量が減少し、中には持病のお薬の副作用で唾液が出にくいという方もいらっしゃいます。唾液が減ると飲食後に細菌が出す酸を中和してくれるのに時間がかかってしまい、歯の再石灰化が間に合わず虫歯になりやすくなります。その他の理由としては、お口周りの筋肉が衰える、身体能力が低下するなどが挙げられます。

根面虫歯により歯を失わないためにできる対策は、丁寧な歯みがき・フッ素の活用・定期的な歯科検診の受診です。また、根面虫歯は治療が大掛かりになりやすいため、早期発見がとても大切です。予防策は普通の虫歯とあまり変わりませんが、より厳密な対応が求められます。セルフケアの徹底に加えて歯科でのプロフェッショナルケアもしっかりと受け、元気な歯を残していきましょう!

微生物との付き合い方とは?

皆様、こんにちは!今回は様々な場所に生息する微生物との上手な付き合い方についてご紹介します。

微生物と聞くといまいちピンとこないかもしれませんが、例えば歯周病菌、むし歯菌などの細菌やカビは微生物の一種です。この微生物はあらゆるところにいるもののその量は少ないため、普段は私たちの免疫力でガードできています。ところで、そんな微生物にも増殖しやすい環境があります。それは、①植物の根の周り、②動物の消化管です。では、②の人間の場合について詳しく見ていきましょう。消化管由来のもの(大便)には1グラムあたり約1兆個の細菌が住んでいます。これは植物の根の周り生息する細菌の数1グラムあたり100億~1000億個をはるかに上回る数字です。

また、消化管の一部である「口」にもたくさんの細菌が潜んでいます。普段からお口の中が清潔な方でもできたてのプラーク(歯垢)1グラムあたりに1000億個、歯みがきをあまりしっかりできていない方のプラークにはなんと1グラムあたり1兆個の細菌がいます。つまり、不潔な口腔内の細菌数は大便に匹敵するということです。加えて、口腔内の免疫力は腸などに比べると低いため大量の細菌に対応することができず、細菌が活性化・増殖して歯茎や歯に症状を引き起こすようになります(歯周病・むし歯)。

こういった細菌の悪さを防ぐためにはもちろんセルフケアが重要ですが、ご自身ではブラシが届きにくい部位や利き手によっては左右での磨き差がでてくるため、歯ブラシの当て方の指導や専門的な機器でのプラーク・歯石除去を行える歯科検診にぜひお越しください!

歯周病と癌との関連について

皆さま、こんにちは!今回は歯周病と関連するがんについてご紹介します。

お口の中の環境が悪化したり、不衛生になることでさまざまな病気―例えばがんや糖尿病、呼吸器疾患などにつながるとされています。なかでも歯周病は口腔がんや肺がん、食道がんをはじめ多くのがんとの関連性が報告されています。

また喫煙はがんや歯周病を悪化させるだけでなく、がん治療にも影響します。例えばがんと診断された後も喫煙を継続すると、がん治療の効果が低下する、口腔内の感染症や肺炎が増加する、がん治療中の口内炎が悪化しやすくなるといったことにつながっていきます。

こういったリスクを上げないためにはご自身でのセルフケアが重要になってきます。しかし、そのセルフケアで口腔内の衛生が維持できなければ、たとえ専門的な口腔ケアをしたとしても約12-16週で元の菌量に戻ってしまいます。そのためセルフケアに励むだけではなく定期的に歯科医院で歯石の除去やクリーニングをしてもらったり、セルフケアの仕方や食生活などについて指導を受けることが大切です。

次回もお楽しみに!

歯周病が痛くない理由は?

皆さま、こんにちは。今回は、なぜ歯周病は痛くないのかについてお話します。

 

虫歯はズキズキと痛みますが、歯周病は痛みなく進行します。この「痛みがない」というのが歯周病の怖いところで、歯周病になっていることを自覚しにくかったり、気づかないうちにどんどん進行していってしまいます。

 

ところで、なぜ歯周病は痛くないのでしょう?大きく分けて2つ、理由があります。

 

  • 「歯ぐきの傷口から体液(血液)が外に出る」ので痛くない

手足を強くぶつけて腫れたとき、ドックンドックンと痛むと思います。あれは、ぶつけたところに体液が溜まり内圧が上昇し、神経を圧迫して「痛み」が知覚されます。

 

しかし歯周病になっている歯ぐきの場合、歯周ポケットの傷口から、血液とともに体液が出てきます。そのため内圧が高まらず、神経を圧迫しないので痛くないのです。

 

  • 歯周病菌が「神経の受容体を壊す」ので痛くない

痛みは通常、神経を通して脳に知覚されます。ですが、歯周病菌の出すタンパク質分解酵素は、痛みを感じるレセプター(受容体)を壊してしまいます。そのため、 歯周病菌が進むほど、痛みを感じなくなります。

 

からだの不調は、普通は痛みがあるかないかで判断されますが、歯周病にはその常識は通用しません。だからこそ、定期的に歯医者さんで診てもらいましょう。

マウステーピングとは?

皆さま、こんにちは。今回は簡単にできて害のない健康法「マウステーピング」についてご紹介します。

 

日本人の10人に8人は、自分では気が付かないうちに口呼吸していると言われています。とくに、寝ている間は体の力が抜けて筋肉が緩むので、無意識にお口が空いてします方が多いのです。睡眠中の口呼吸は、お口の中が乾くだけでなく、様々な感染症を引きおこすなど、体にさまざまな不調を引き起こしやすくなります。

 

その問題を”簡単かつ確実に“鼻呼吸にしてくれるのが、お口にテープを貼って寝る「マウステーピング」です。

 

しかし、テープを貼っても口呼吸しようとするのでお口を開こうとしてはがれたり、自分でテープをはがしてしまいます。

 

この場合はテープを縦に2本貼ったり、幅広のテープを使ってみるなどして、根気強く試してみましょう。

「テープを貼る部分に化粧水やクリームが塗っている」ことや「髭が伸びている」ことではがれやすくなります。テープを貼る部分には何も塗らないことをおすすめします。また、男性は髭を剃ってからテープを貼るとよいのですが、どうしても剃れない場合は、テープをバッテンにしたり、テープを長めにして貼るとよいでしょう。

 

また、鼻炎だからとマウステーピングを諦めてしまう方がいますが、マウステーピングを使うと鼻炎や蓄膿症の人でも鼻が通りやすくなります。今は、さまざまなタイプのものがありますので、是非お試しください^^

初期虫歯の特徴と予防法について

新年あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。昨年に引き続き歯科に関するトピックをご紹介します^^

 

今回は初期虫歯の特徴と予防法についてご紹介します。

まずはじめに、初期虫歯とは「まだ穴のあいていない虫歯」のことを指します。

ここから脱灰がさらに進行すると歯の形が壊れて穴のあいた虫歯になります。穴があいてしまうと虫歯の部分を取り除いて治療をしなければいけませんが、穴のあいていない初期虫歯の状態であれば再石灰化が起きて虫歯の進行を止められることがあります。ただし歯質が元通りになるわけではないので、注意深いケアと定期検診は欠かせません。

続いて初期虫歯の予防法についてです。主な対策は3つあります。1つ目はフッ素を歯に供給することです。フッ素には再石灰化を促進させるはたらきがあり、初期の虫歯であれば唾液とフッ素の作用によって自然治癒が見込まれます。食後にフッ素配合の歯磨き剤でブラッシングしたり、フロスにフッ素配合の歯磨き剤をつけて歯の間の掃除をされると効果的です。2つ目は、間食に注意することです。虫歯の原因は砂糖だと思われがちですが、実は原因になっているのは「発酵性炭水化物」です。つまり砂糖を含まないパンや白米も細菌の餌になります。また、1日3食以外の間食が多いほど虫歯のリスクは上がります。3つ目は、ガムで唾液を出すことです。ガムをかむことで唾液がたくさん分泌され、再石灰化が促進されます。おすすめするガムは糖を含まない、キシリトールやCPP‐ACPの配合されたものです。CPP‐ACPは歯にカルシウムも供給するため、唾液分泌の少ない方には特に効果的です。そしてやっぱり大事なのは定期検診にお越しいただくことです。毎日歯ブラシやフロスを丁寧に行っても完璧にプラークを除去することは残念ながら不可能です。歯科に定期的に通っていただくことにより、ブラッシング指導、高濃度フッ素の塗布などの処置ができます。

また、レントゲン写真で目視できない部分の虫歯を初期の段階で発見することも可能です。

虫歯のない健康なお口を保つためにも、定期検診に通っていただくことをおすすめします!

 

抜いた方が良い歯とは?

皆様、こんにちは!今回は歯を抜いたほうが良いのはどんな時かについてご紹介します。

当院でも歯はなるべく残す方針を取っていますが、どうしても抜歯をしなければならないケースがいくつか存在します。その一つが、歯根破折です。歯根破折とは歯茎に埋まっている歯の根っこに縦向きにひびが入った状態のことを指します。ひび自体はレントゲンでも写らないほど微細ですが、歯根破折を起こすとこのひびから歯茎の内部に唾液中の細菌が入り込み、歯の根っこの周りの顎骨が少しずつ破壊されていきます。この状態になるとレントゲンで黒く写るようになります。

歯根破折の初期症状はあまりなく、噛んだときに違和感がある程度です。そのため、この段階では抜歯をすすめても「今はやめておきます」とおっしゃる方が多いです。しかし状態が悪化していき、抜歯をせずに放置するほど顎骨が減っていくためその後の治療の難易度は上がります。加えて、今は違和感だけであっても何年後、何ヶ月後かに激痛や酷い腫れが生じることもよくあります。

残念なことに、歯根破折はたとえ歯科に定期的に歯科に通っている患者さんにもある日突然起こり得るトラブルです。「無理な噛み方をしない」という予防法もありますが絶対に防げるものではないため、もし歯科で歯根破折していると診断された場合にはなるべく早い段階で抜歯されることをおすすめします。